食べられないおともだち

  •  


あなたの夢は何ですか――。
 
「私の夢は大人になるまで生きること」。
マニラのゴミ捨て場に暮らす少女は、こう答えた。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

つい先日、3歳の息子と一緒に
「懸命に生きる子どもたち」というDVDを見た。

これは、沖縄に拠点を置く、
NPO法人アジアチャイルドサポートの代表
池間哲郎さんの講演録。
http://www.okinawa-acs.jp/

貧しさのなか、懸命に生きる
アジアの子どもたちが映し出されている。

2週間ほど前、コーチング事業を専門にする
株式会社インテリジェンス・アンリミテッドの
設立8周年記念で、池間さんの講演を聞いた。
http://www.intelligence-u.com/

その時にいただいたのが、このDVD。
あの映像は、今も心を離れない。

ゴミ捨て場で、プラスチックや空き缶など、
お金に換えられそうなものを
必死に探すフィリピンやカンボジアの子どもたち。

家族が生き延びるため、
生理が来ると売られていくタイの少女たち。

食べ物を買うお金がないため、
それよりも安いシンナーを吸い、
ひもじさや苦しさをしのぐカンボジアの少年。

気が遠くなるほど恐ろしい空腹におそわれた時、
空腹をまぎらわすため、
ビニールを口に詰め込んで、クチャクチャ噛むモンゴルの少年。

劣悪な環境のなか、必死に生きている。
それでも、1枚のガムをもらえば、みんなで分かち合って食べようとする。
物質的には貧しくても、心豊かな子どもたちの姿がそこにあった。

こうした子どもたちに出会い、
それまで、ただ何となく生きてきたという池間さんは、
「このままではダメだ。真剣に生きなければ」と感じ、

生涯かけて、このアジアの子どもたちを支援していこうと
心に決めたという。

講演の最後に、池間さんは
ボランティアについて、3つのメッセージを伝えていた。

1つ目は、「知ることも大切なボランティア」だということ。

毎日、貧しさのために多くの命が失われている。
そのほとんどは、何の罪もない子どもだということを
知って欲しいという。

2つ目は、「少しだけ分ける」こと。

100円がなくて、失われる命を見てきた池間さん。
私たちがこうした問題に少しでも心を向けると、
多くの命が救われるという。

「余るから物やお金をあげるのではなく、分ける心が大切」
と、池間さんは訴える。

3つ目は、「最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きる」こと。

「こうしたアジアの子どもたちから、
一生懸命に生きることの大切さを学んで欲しい。

一生懸命に生きる人だから、自分の命も他人の命も尊い。
真剣に生きる人だから、相手の痛みや悲しみも胸に伝わってくる」

と池間さんは話す。

池間さんの言葉一つひとつが心に響く。
与えられたいのちを、ちゃんと生きよう。改めてそう思った。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

60分強のDVDを一緒に見終わった後、息子に聞いてみた。

「これ見てどう思った?」
「食べられないおともだち」

「そっか。食べられないおともだちがいたら、どうする?」
「わける」


アジアの子どもたちから学んだことを、
忘れないようにしたい。

▼懸命に生きる子どもたちの本、DVDはこちら
http://www.okinawa-acs.jp/shop.html