『夜回り先生』(サンクチュアリ出版)を読んだ。
筆者は、夜間高校の教員をしている水谷修氏。
横浜の有数な受験校から夜間高校へ転勤してから12年もの間、
夜の街を回り、不登校やひきこもり、リストカット、薬物乱用などに苦しむ
5,000人の生徒と向き合ってきた。
「自分からリスクを負わずに、他人と気持ちを分かち合うことなんてできない」
と考える水谷氏は、子どもたちを守るために、暴力団の事務所でも、
暴走族の集会でもかまわず突入する。
命の危険をおかしてまで、子どもを守ろうとする「原動力」は
一体どこから来るのだろうか?
彼は決して、恵まれた家庭環境に育ったわけではない。
物心ついた時にはすでに父親がいなかったし、
貧しかったため、子どもの頃は母親とも一緒に暮らせなかった。
そして、友達もいなかった。
水谷氏はずっと「孤独」だったのだと思う。
そして、夜の街に繰り出す現代の子どもたちも「孤独」を感じている。
きっと彼は、子どもたちに、かつての自分を
(もしかしたら、今の自分の姿も)重ね合わせているのではないだろうか。
人は、誰しも「孤独」を感じる時がある。
だからこそ、人とつながっていたいのだと思う。
水谷氏はうわべではなく、子どもたちと真剣に向き合っている。
その姿勢が、彼らの心をひらかせるのだろう。
人と真剣に向き合う――。
これは私にとって、永遠のテーマだ。